個人事業者から株式会社を設立し、その株式会社で事業を行っていくことを「法人成り」といいます。
今日は、「法人成り」のデメリットについて紹介したいと思いますので、参考にして下さい。
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法人成りのデメリット
1.設立費用
まず、会社を設立登記をするのに、株式会社の場合、約25万円、合同会社の場合、約10万円ほどかかります。
合同会社という言うとあまり馴染みが無い名称ですが、昔の有限会社と同じと考えて貰ってかまいません。
ちなみに、乃木坂46の運営会社は「乃木坂46合同会社」となっています。
飲食店や美容院などお店の屋号の方が表に出ている業種では、合同会社で設立すれば、設立費用を節約することができます。
合同会社から株式会社、株式会社から合同会社への変更することもできます。
税務上、どちらが有利とか不利とかはありません。
また、法人の場合には、解散する場合にも経費がかかります。
2.税理士費用
個人事業者の場合は、自分で申告書を作成している方もいるかと思いますが、会社の税金の申告になりますと、書類の量が膨大になりますので、税理士に依頼された方がいいと思います。
なお、決算の時だけ申告を依頼する場合でも15万円~30万円の税理士費用が生じるのが一般的かと思います。
3.赤字でも税金がかかる。
赤字の場合であっても、会社の場合には、法人住民税均等割という税金が課税されてしまいます。
会社の規模によって違うのですが、資本金が1,000万円以下で従業員が50人以下の場合、私の事務所がある群馬県藤岡市の場合には、1年間の法人住民税均等割額は81,400円になります。
4.役員報酬は最初の3カ月で決めた金額で固定
役員報酬については、会計期間開始の日から3カ月以内に決めて、次の定時株主総会まで、原則として変更することができません。
つまり、個人事業者の場合と違って会社のお金を自由に持ち出したりすることが出来なくなります。
仮に、定時株主総会で決めた金額より持ち出したとしても、その分は経費になりません。
5.社会保険料の負担が生じる
個人事業主は国民健康保険料と国民年金保険料を納付します。
会社を設立して役員報酬を受け取る場合には、社会保険に加入して社会保険料を支払うことになります。
その場合の保険料は、会社負担と個人負担を合わせて25%くらいになります。一般的には、個人事業主が支払う保険料の合計額より、会社が支払う社会保険料の場合(会社負担と個人負担を合わせた金額)の方が多くなります。
ポイント
税金のことだけを考えると、個人所得が400万円くらいから、法人成りした方が税金が安くなるケースがあるのですが、社会保険料を考慮すると実際には、小規模の事業者の場合には、出て行くお金が多くなるケースが多いです。
最近では、社会保険料の負担が大変なため、株式会社から個人事業者に変更する個人成りなどという言葉も出てきました。
実務の現場にいると、社会保険未加入の会社に対する行政からの圧力がだんだん強くなっている感じがしますので、今後、法人成りを検討しているのであれば注意が必要です。
法人成りについてもっと詳しく知りたい方は、以下の書籍がおすすめです。