私が入力指導をした先輩の事務所の新入社員君61歳が辞めてしまったらしい。
3日で辞めてしまったそうである。
私が2日間付きっきりで教えたあの時間はなんだったのであろうか。
借方と貸方を覚える前に辞めてしまった。
こんなことを何回繰り返せばいいのであろうか。
この業界は3人入って1人残ればいい方ではないだろうか。
先輩は「今度はシングルマザーでも雇おうかな」と言っていた。
シングルマザーは子供を養うために必死で働くとのことである。
たしか、東横インもそのような手法をとっていたような記憶がある。
私は「勝手にしろ!」と言ってやろうと思ったが、今日は昼飯を奢って貰う予定だったのでその言葉を飲み込んだ。
「ビックボーイ」というチェーン店で食べていたのであるが、カレーライスお替り自由というめちゃくちゃな店であった。
話を元に戻すが、私もこの業界に長らくいるが、まっとうな引継書というのを見たことがない。
辞書の様にぶ厚いISOのマニュアルなら見たことがある。
ISOの書類を作成するために残業をするのがバカらしくなったことも私がサラリーマンを辞めた一つの原因でもある。
勤務時代は、決算書を渡されて一回同行して引継ぎ終わりということが普通であった。
長期前払費用の保証料の内訳がわからないことも何度もあった。
保険積立金の内訳がわからなかったことも何度もあった。
土地の内訳がわからなかったこともあった。
所得拡大促進税制の計算の根拠が見つからない時は愕然とした。
それでもいいと思っていた。
しかし、これからの若い人にその方法で通じるだろうか。
「通達を読め!」なんて言って、ついてきてくれるであろうか。
税理士事務所というのは、それほど給料のいい職場ではない。
このままでは、優秀な若手が余所の業種に移ってしまう。
都市部では、既に人材が不足しているらしい。
専門的な職種であるのだから、きちんとしたマニュアルを作るべきである。
会計担当者の主観的な判断で利益が決まってしまうのではなく、その税理士事務所の誰が作っても利益が同じでなければおかしい。
試算表及び決算書は我々の商品である。その商品の品質を一定に保たなければならない。
製造業のお客さんには、偉そうなことを言っておいて自社の商品の品質が保たれていないのであれば信用を勝ち取ることは難しいであろう。