老いている。
日々、老いている。
悪玉コレステロールの薬も飲んでいる。
このコロナ化においてさらに老いている気がする。
日々、無為に過ごす。
外出も自粛している。
ZOOM飲み会のお誘いもない。
そもそもZOOM飲み会など都市伝説ではないだろうか。
私の住む群馬県では、ZOOM飲み会が開催されたというエビデンスはどこにもない。
せめて子供がいれば、子供の成長を見守ることで、この無為に流れる時間を有意義に感じることが出来るのであろうか。
とりあえず、ワクチンである。
少しでもこの不安を取り除くにはワクチンが必要だ。
ワクチンの接種券が届いた私はすぐさま予約をして、接種日に接種会場であるGメッセ高崎に向かった。
ワクチンの接種券には年齢を記載する箇所がある。
私は自分の年齢を記入する。
確か42だったはずだ。
随分、遠くまで来てしまった。
晩年と言ってもいいであろう。
すると受付のお姉さんが「あなたの年齢は43ではないか」と言うのである。
そんな馬鹿な。
お前に何が分かるというのだ。
平成生まれの小娘に!
私の何が分かるというのだ。
団塊ジュニアとして生まれ、高度成長期と共に少年期を過ごし、バブルが弾け就職氷河期で仕事は全然見つからず、こつこつ簿記の勉強をして小銭を稼いで来たのだ。
二十代は税理士の試験勉強でろくに遊んでもいない。
お前に俺の人生の何が分かるというのだ!
私は溢れ出る涙を袖で拭う。
どうせ私の苦しみは私にしか分からない。
しかし、私が知らないうちに年を取っていることなどあるのだろうか。
税務ハンドブックの末尾の年齢早見表を確認する。
どうやら私は本当に43歳であったようだ。
コロナ渦で時が止まっていたような気になっていたが確実に時間は過ぎ去っていた。
私は確実に老いてた。