寺田拓生税理士事務所

群馬県藤岡市の会計事務所

Home » 日記 » 誰しもユニクロで買い物をする姿は見られたくないものである

誰しもユニクロで買い物をする姿は見られたくないものである

calendar

reload

誰しもユニクロで買い物をする姿は見られたくないものである。

私もそのカルマからは逃れられずにいた。

説明するまでもないが世間的に「ユニクロ=安物」というイメージがあるからだ。

その日、気が付くと私の靴下には穴が空いていた。最近、ウォーキングを教わっているあの「ためしてガッテン」で得た知識を得意げに話す胡散臭いトレーナーの教え方が悪いせいだろうか。私はいつも着ているユニクロからユニクロじゃない服に着替えてユニクロに向かう。ユニクロに行く時くらいはユニクロを着て行きたくない。それが最低限のプライドである。40過ぎの禿げ散らかしたおじさんに、なぜこのようなプライドが残っているのか不思議と言えば不思議であるが、10年以上乗り潰している日産キューブに「レクサス」と愛称を付けていることからも、悲しすぎるほど屈折した自分の性格を読み取ることができた。

私は秘かに安心していた。私は仕事以外での交友関係が極めて狭い人間であり、ユニクロで知り合いに会う可能性などほとんどないからである。今では自分の人生をうぐいすパンくらい地味な人生と呼んでいるくらいだ。

私は商品棚から1足の靴下を選びとる。ユニクロでは靴下を1足買うより3足買った方が1足分の値段は安くなるが、私は1足だけ靴下を買う。私は「お買い得」という言葉を信じていない。在庫は少ないに限る。一時の甘い感情に騙されてはいけない。私には私なりの会計理論があり、その知識で今迄ご飯を食べて来たという自負があるのだ。しかし、レジに行った時、私の完全なる計画の歯車が脱輪していることに気付くことになる。レジには小学校の同級生で体育の時間に過呼吸で倒れたことのあるY田さんが働いていたのだ。

「お、おう・・・こんにち・・・は」
「1足だけ?」
「う、うん、ちょっと在庫をあんまり・・・」

見られてしまった。私はユニクロで買い物をする姿をY田さんに見られてしまったのだ。今頃、私が一生誘われることのない同級生ライングループで「安物」という不名誉なあだ名で呼ばれていることであろう。私からユニクロを奪ったあの同級生のY田さんが憎い。

この記事をシェアする