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楽曲派が死んだ日

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楽曲派が死んだ日

近い!近い!新宿のライブハウスに私の悲鳴が鳴り響いた。

これは昨年の12月16日の出来事である。

私は嫉妬の炎を燃やしていた。高校1年生にだ。私の中の悪魔が彼のメガネを取り外して投げ捨てようとしているのを、なんとか理性で抑えているのだ。私が彼の事を知ったのはいつだろうか。昨年の5月頃であろうか。彼はabemaTVの『日村が行く!』の 第3回高校生フォークソンググランプリでオベーションのギターを持って姿を現した。何処にでもいるような冴えない少年にしか見えなかった。しかし、彼がオベーションを奏で出した瞬間、世界が一変した。圧倒的な才能であった。私は今迄、彼のような圧倒的な才能の前に何度も夢を諦めて来た。凡人の夢を打ち破るほどの圧倒的な才能。天才である。崎山蒼志とは、そういう類の人間であった。そして、彼は第3回高校生フォークソンググランプリで優勝する。収録時にはまだ中学3年生であったそうだ。その後、地上波のワイドショーにも取り上げられ、瞬く間に天才ギター少年と世間を騒がせるようになった。どちらにしても、この時点では、私達、楽曲派のオタク界隈には何の接点のない話であった。しかし、私はこの崎山蒼志という名前を生涯忘れることは無いであろう。

信じられないことが起きたのは、それから半年後の事である。何とsora tob sakanaと崎山くんとのツーマンライブが決定したのだ。sora tob sakana については、最早、説明する必要もないと思うが、楽曲派の中の楽曲派、真の楽曲派アイドルと言われる存在であり、今ではアイドルイベントでは当たり前の様にトリを務める存在である。sora tob sakana は私達、楽曲派オタクの希望であり夢なのだ。昨年発売した『New Stranger』は2018年のアイドル楽曲大賞のメジャー部門で1位を獲得している。先日、レコード大賞を受賞した乃木坂46の『シンクロニシティ』が同部門で8位であるから、sora tob sakanaは、乃木坂46と同格と言っても過言では無いのである。

私はこのツーマンライブは危険だと直ちに判断した。同世代の才能がぶつかり合ったら何が起こるだろうか。お互いに刺激を受ける?冗談じゃない。同世代の才能がぶつかり合って起こることといったら、それは一つしかない。恋である。遂にその時が来てしまったのだ。私達のsora tob sakana に文春砲が迫って来ているのである。私達は、文春砲によって今迄、数多のアイドルを失って来た。崎山蒼志という圧倒的な才能がまたしても、私の夢を打ち砕こうとしているのだ。私が行かなければなるまい。昔の私とは違う。sora tob sakana は私の夢だ。もう、誰にも私の夢を壊させやしない。私が新宿まで行って文春砲を止めなければならないのだ。

ライブハウスに着くと、私の予想に反してそこにはいつものようなアットホームな空間が広がっていた。sora tob sakana主催のライブなのに普段では見かけない妙齢の女性が、ちらほらと見受けられる。多分、崎山くんのファンの方だろう。私はその方々をSSWおばさんと命名した。取り合えず崎山くんとsora tob sakana の距離があまり近づき過ぎないか、文春の記者が紛れ込んでいないか注意深く観察することにした。イベントとしては大成功と言えよう。途中、質問コーナーで崎山くんと山崎愛さんの視線が交差する度に「それじゃ崎山愛になっちゃう」と冷や冷やしたが、無事にライブを終了することが出来た。イベント終了後はsora tob sakana は後夜祭を行い、崎山くんは新宿のタワーレコードにリリースイベントに行ったため、両者が深く親交を深める時間があったとは考え難い。しかし、私はライブ終了後の会場の観客達の反応に絶句してしまった。

「崎山くん、凄かったな!」「ああ、ヤバかった」「そのうちMステ出るんじゃない」

何と、楽曲派のオタク達がこぞって崎山くんを絶賛しているのである。なかには崎山くんの物販に並んで嬉しそうにCDを買って握手をするオタクまで現れる始末である。彼らは忘れてしまったのだろうか。山下久美子が今井美樹に旦那を取られたのを。それが、今、我々の目の前で起ころうとしているのだ。山崎愛が崎山愛になっても君達は平気なのか。確かに崎山くんが凄かったのは分かる。認める。だからこそ危険なのだ。文春砲が。いや、文春砲が怖いのではない。崎山蒼志にsora tob sakana を取られるのが怖いのだ。周りのオタク達にはがっかりだ。ここはどこだ。sora tob sakana の主催ライブだ。つまり、ここは楽曲派の一丁目一番地ではないか。 今日、楽曲派は死んだ。 彼らは、オタクでは無い。嫉妬しないと。本気で。男子高校生に。枕を濡らし、悲しみ、怒らないと。私達オタクは父兄ではない。本気でアイドルに恋をしてこそのオタクでしょ。私だって色々犠牲にしてオタクやってるんだから。税理士という地域に根差した仕事をしながら、JKアイドルとチェキを撮った罪で租税教育出禁になってるんですから。

《2018年のオタク活動費》178,622円 前年比△271,092円

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